カウンセリングを受けることのメリットや、カウンセリングルームの選び方、料金形態や保健適応についてご紹介します。

カウンセリングとは?

カウンセリングとはどのようなものでしょうか。一言で定義することは難しいのですが、私たちが生きている中で抱える悩みや問題の解決をお手伝いしていくことがカウンセリングになります。

「カウンセリング」と「心理療法」という言葉があります。両者の違いについて厳密に定義されているものはありません。ただ「カウンセリング」よりも「心理療法」という言い方の方が精神科・心療内科のような医療機関で使われることが多く、「心理療法」の方がより治療的という印象を与えます。

しかし両者の違いについて厳密に定義づけられているわけではないので、ここでは「カウンセリング」という言葉で統一してお話をしていきます。

こころの専門家について

日本ではこころの問題を扱う専門家の資格として「臨床心理士」と「公認心理師」の二つが主たるものとなっています。「臨床心理士」は主に日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院を修了したものが受験資格を得ることができます。「公認心理師」が誕生するまでは、「臨床心理士」資格が日本では最も知られているものであり、医療機関、学校で働くスクールカウンセラー、産業や福祉など多くの現場では、「臨床心理士」有資格者しか応募できない場所も多くありました。

「公認心理師」は日本で初の心理の専門家に関する国家資格で、2018年に初めて試験が実施された比較的新しい資格となります。「臨床心理士」は大学院修了もしくはそれと同等の教育を受けていることが求められますが、「公認心理師」は大学の学部卒業だけで受験資格を持てるため経験や知識不足の方でも資格を取得できてしまう可能性があることが危惧されています。しかしまだ新しい資格のため、未知数の資格とも言えるでしょう。

それ以外にもさまざまな民間の研究機関によってカウンセラー養成講座を開かれ、「カウンセラー資格」を持った方がいらっしゃいますが、臨床心理士は高度な訓練や多くの経験を積まなければ受験資格そのものがなく、また資格取得後も、資格維持のために継続的な訓練や研修を必要とされています。

なお、当相談室の相談員は「臨床心理士」「公認心理師」どちらの資格も有しております。

そもそもカウンセリングの目的とは?

カウンセリングのおもな目的は、クライエントが自分自身の悩みや問題を理解し、それを乗り越えるための方法や手段を見つけるお手伝いをすることです。多くの人々が、仕事や学校、家庭などの日常生活の中でさまざまな問題に直面しています。カウンセリングでは、これらの問題を解決できるようなサポートを行っていきます。

さらにカウンセリングを受けることで、自分自身についてより深く理解していくこともできるでしょう。

カウンセリングを受ける場所の選び方

こころの問題が社会問題になり、カウンセリングのニーズは高まっており、それに伴ってカウンセリングを受けられる場所が増えてきています。

以前から精神科や心療内科では臨床心理士によるカウンセリングが行われていましたが、最近では多くの公立小学校や中学校には臨床心理士資格を有するスクールカウンセラーが配置されています。また働く人のメンタルヘルス対策のために企業内に心理相談室があったり、企業がカウンセリングルームと提携して社員のメンタルヘルスフォローを行ったりもしています。

また臨床心理士によるカウンセリングルームの開業も多くなっており、多くの場所でカウンセリングのサービスが提供されるようになってきました。

カウンセリングの料金が高額な理由

臨床心理士の行うカウンセリングは保険診療の適応外です。医療機関での「カウンセリング・心理療法」であってもほとんどの場合は保険適応外となり、自費診療となります。なぜ保険診療にならないのか…それはカウンセリングが医療行為とはみなされていないからです。「公認心理師」という国家資格ができ、医療機関でのカウンセリングのあり方は変化していく可能性があります。しかし現段階では「カウンセリング・心理療法」において保健適応されるのはかなり限定的な場合になります。

それではなぜカウンセリングは高額なのでしょう。最も大きな理由は一日に多くの方のカウンセリングを行うことは無理だからです。多くの場合、ひとり45分~50分の時間設定をします。そしてカウンセリングの中で話されたこと、それについて心理士として考えたり感じたことを整理し記録をつけていきます。このようなことは多くても一日7~8件までが限界でしょう。そうなれば必然的に金額も高額に設定せざるをえません。

当相談室は医療機関ではありませんので、医療保険の適応外となっております。

お金がないけれどカウンセリングを受けたい

これまでお話ししてきたように、医療機関や私設のカウンセリングルームではカウンセリングの料金は一セッション8000円~程度となっています。しかし様々な事情でそれだけのお金をかけられないという方もいらっしゃると思います。

公的な機関にも臨床心理士が勤務しており、カウンセリングを提供している場所が多くあります。多くの学校にはスクールカウンセラーがおり、児童生徒やその保護者の方のカウンセリングを実施しています。また大学では学生相談室があり、そこにも臨床心理士によるカウンセリングが行われています。地域の精神保健福祉センターなどでも臨床心理士によるカウンセリングを行っている場所があり、これらは無料で提供されています。

しかしこれらの場所は無料であるがゆえに様々な縛りがあります。学校であれば卒業をしてしまえばそれからは相談に行くことができません。また夏休みや冬休みなど学校のお休みに準じてカウンセリングルームが閉まってしまうために、定期的な相談が難しくなります。また精神保健福祉センターなどでは頻回なカウンセリングは難しく、じっくりと定期的にご自身のことについて話をしていきたい場合は物足りなく感じることもあるでしょう。さらに公的機関の臨床心理士は多くが非常勤勤務で、働ける年数に限りがあります。そのため毎年のように担当の心理士が変わってしまうということもあります。

その点、私設のカウンセリングルームは週1回などの頻度を決めて定期的に、長期にわたってじっくりとお話をうかがうことができるという利点があります。

カウンセリングの流れ

一言にカウンセリングといっても様々な技法があります。そのため一般化することはできませんが、多くの場合は、まず数回のカウンセリングの中で相談内容や悩みを明確にしていくこと、その問題の背景にはどのようなことがあるのかなどを考えていきます。また何が問題なのかを理解していくためには、ご自身の育ってきた環境やご家族、人間関係などについてうかがっていく必要があります。そのようなことを数回の面接で行い、そのうえでどのように問題を解決していけばよいのかについて考えていくことになります。

カウンセリングの効果を最大限に引き出すためのポイント

カウンセリングの効果を最大限に引き出すためには、まずはご自身の悩みや問題を明確にしていくことが重要になります。そのためカウンセリングを受けるときには、ご自身の気持ちや考えを正直にお話していただくと良いでしょう。

まとめ

カウンセリングの目的は、各個人が抱える悩みや問題について、こころの専門家との会話を通じてどのように問題を解決していくのかを考えたり、その問題を解決してより生きやすくなることを考えていくことにあります。こころの問題を抱えた人は多く、カウンセリングのニーズも高まってきています。カウンセリングを受けられる場所は精神科・心療内科の医療機関だけでなく、学校や精神保健福祉センターなどの公的機関、私設のカウンセリングルームなど多岐にわたります。ご自身の問題や悩みに合わせてカウンセリングを受ける場所を検討することが重要です。

PAGE TOP